2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

親父ホイホイ(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #23 居ても立っても居られなくなり 道着をつかんで家を飛び出した。 道場に向かったのは覚えているが その後の事はあまり覚えていない。 気がついた時には、なぜか突っ込んでいた。 「不倶戴天の敵やろ」 大阪…

シンガポール 海南鶏飯 (水道橋)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #22 ラーメン屋を出て学校に取って返したが、 ガリもカリナも見当たらない。 くそっ帰ったか? 俺の予感は当たる。悪い予感は特に。 保健室に行くと保健の戸田先生が残っていた。 「戸田ちゃん!ガリは?」 「…

居酒屋 よってこ(飯田橋)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #21 「大丈夫かい?」 神宮寺は僕を見ると笑顔を浮かべ近づいてきた。 「大丈夫なわけあれへんやろ・・」 僕はそう言って、神宮寺の横をすり抜けて帰ろうとした。 「ちょっと待ってよ。謝ろうと思って待ってた…

デニーズ(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #20 俺は行きつけのラーメン屋に行った。 ここの親父とは俺が小さい頃からの付き合いだ。 「らっしゃい!おうデブちゃん。部活は終わったのかい」 「いや、電池が切れたから充電しにきたよ」 「そうかい。いつ…

鉄板焼き&ステーキ 蛮々(飯田橋)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #19 僕は少しの間だったが 他の事を考えようとしそうになる頭を必死に引き戻して カリナと二人での会話を楽しんだ。 「お大事にね。」 そう言うとカリナも保健室を出て行った。 起き上がろうとしたが 体が痛く…

そば茶屋 侘助(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #18 神宮寺は中1の時、学校ではほとんど目立ってなかった。 外で自分の組織を作って遊んでたあいつにとって、 学校なんて興味を充足させる場所にはならなかったのだろう。 でも俺があいつに散々な目に遭わされ…

キッチンワタル(飯田橋)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #17 そこが保健室だと気がついたのは 目が覚めてしばらくしてからだった。 僕はしばらく真っ白な天井を見つめていた。 自分の部屋でいつものように目覚め、 何か夢を見ていたのだと思い、それを思い出そうとし…

タイの食卓 オールドタイランド(飯田橋)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #16 〜デブの回想4〜カリナは諦めてくれただろうか? あんな男にカリナは合わない、と俺は思う。 あの男は望んだ全てのものを持っているが、 カリナの笑顔に比べたらそのどれもが無価値に思える。 あれ?俺は…

スマイル(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #15 僕は試合をすることを二つ返事で軽く快諾した。 審判もいないし、遊び程度だと思っていたからだ。 早くやろうと急かす様な神宮寺の態度にも 不信感を持つ事も無く、 剣道が本当に好きなんやな、と思ってい…

カレー屋ジョニー (お茶ノ水)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #14 〜デブの回想3〜次の日、顔中に絆創膏やら湿布を貼って登校すると、 校門で後ろからカリナに話しかけられた。 「デブおっはよー」「よお」「うわっ何その顔!どうしたの!?」「なんでもねーよ」「なんで…

Dining Cafe Esperia エスペリア(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #13 次の日、授業が終わると教室を飛び出し 急いで着替え済ませると、道場に向かった。 急ぎすぎたせいか、いつも一番に来ている神宮寺の姿は まだそこには無かった。 神宮寺が来たら昨日のこと、あやまろう。…

タイ屋台料理グリーンパッタイ (駿河台)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #12 〜デブの回想2〜 小学六年生になると、 神宮寺は同級生からはもはや神格化された存在となり、 大人達からも神童としてもてはやされた。 その一端を担ったのが奴の剣道の実力だった。 物心ついた時から竹刀…

珈琲館 専大前本店(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #11 稽古前の黙想の間も僕はまったく集中が出来ず、 このあとの試合の事ばかり考えていた。 しんと静まり返った道場内に 僕の鼓動だけが響き渡っている気がする。 試合が始まる。 僕は「はじめ!」の声ととも…

Fah-Sai ファーサイ(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #10 カリナは「神宮寺に告白する」と俺に言ったあの日から、 俺のことを無視する姿勢に入ったようだ。 今日も俺には一切ちょっかいを出さず、 黙って授業に集中している。 それは別に構わないが、気になるのは…

カラコルム(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #9 僕は、デブが神宮寺の話ばかりしてくる事の 意味など知るわけも無く、 少し気味が悪いとさえ思い始めていた。 また意味分からんことゆうて去って行ったな。 相変わらず何が言いたいんや。 ようわからんけど…

つけそば屋 北かま(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #8 「なんだよ急に改まって」「帰るところだったんでしょ?一緒に帰らない?」「いいよ」学校の裏手には川に沿って土手が続いている。 俺とカリナの家は土手を下流へと進んだ先にあり、お互いの家は歩いて3分…

ハングリー味川(水道橋)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #7 剣道部の顧問は、担任の坂本だった。 入部の手続きはスムーズに終わってしまい、 初参加の日がやってきた。 ほんとは捨ててしまおうと思っていた道着も、 母親が大事にしまってこっちに持って来ていたらし…

カリーライス専門店エチオピア 本店(神保町)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #6 転校生を呼び出してからというもの、 若干の気まずさを感じ転校生とは目を合わせていない。 席が近いだけにこれは不自然なのだが、 もともとおとなしい転校生と俺が気まずくなろうが、気付く者はいないだろ…

cafe HINATA-YA ヒナタ屋(水道橋)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #5 誰やねん。神宮寺竜也って。 ほんで、いまの何やってん・・ 初日は助けてくれたり、 それから今日まで、まったく接点無かったのに いきなりこんなところに呼び出して 意味分からんことゆうて、走って去って…

南欧大食坊ボン・ビブール(九段下)

連続カレーブログ小説「カレーみたいな青春」 #4 俺はその日も怒っていた、と思う。 暑さの所為じゃない。 中間テストの成績が想定よりもだいぶ悪かったからでもない。 原因はあの転校生だ。 俺はここ数日、あいつを観察していた。 と言っても別にしたくて…

キッチンカロリー(お茶の水)

連続カレーブログ小説 「カレーみたいな青春」 #3 僕はさっきの声の主を確かめるように見つめながら その時起こった静寂を利用するように名前をつぶやく。 「ガリ・・です・・」 深く頭を下げ、 起き上がると同時に、坂本に視線を送る。 「ん・・?うん。じ…

博多らーめん 由丸(駿河台)

俺の機嫌は朝から最悪だった、と思う。 6月も半ば、 窓から差し込む朝日が明確な熱気を帯び始めていた。じっとりとした汗が頬を伝い、目覚めると 階下で母親が朝飯の用意ができたから早く降りてこいとがなり立てる。 のっそりと起き上がり、 ゆっくり階段を…