ハングリー味川(水道橋)

連続カレーブログ小説
「カレーみたいな青春」 #7




剣道部の顧問は、担任の坂本だった。
入部の手続きはスムーズに終わってしまい、
初参加の日がやってきた。


ほんとは捨ててしまおうと思っていた道着も、
母親が大事にしまってこっちに持って来ていたらしく
練習にもすぐに参加することができた。




あの時デブは、
カリナと神宮寺の関係は言わなかった。


つき合っているんだろうか。
僕は思考を巡らせる。
もしそうだとしたら、
僕なんかがこんなことをして剣道を始めても意味があるんだろうか。
もう、辞めてしまおうか。


始める前からそんなことも考えたが、
結局道着に袖を通している僕がいた。



着替えをすませ武道場に向かう。
扉を開けると、
精悍な顔立ちをしたひとりの男子が
もくもくと素振りをしている。




「あの・・」


僕が話しかけようとすると、
その男子は最後の素振りを丁寧に止め、
僕に視線を向けた。




「もしかして、今日から入部する我里くんかな?」


さっきまでの厳しい表情から一転して
男の僕でもまぶしいと思ってしまうような
さわやかな笑顔を浮かべ、そう聞いて来た。


「はい。よろしくお願いします。」


僕はこたえる。


「僕は神宮寺といいます。こちらこそよろしくお願いします。
 一緒にがんばりましょう。同じ学年だし、なんでも聞いてくださいね。」


たぶん、こんな感じの丁寧な挨拶が返って来たが、
僕の耳には途中から何も入って来なかった。




彼が、神宮寺・・



とてもじゃないけど敵いそうにない。
剣道の腕も、恋敵としても・・


僕はなんだか全身の力が抜けた。
きっと僕の脳が白旗をあげたに違いない。
へらへらと笑いながら、僕は適当な言葉を返していた。




その日は、
素振りや打ち込みなどの基本練習だけ参加した。
それだけで僕の実力がバレたんだろうか。
試合形式の練習の時には、
座って見ているように坂本に言われた。




面タオルを巻き、姿勢正しく正座をしている
神宮寺の姿はくやしいほど美しかった。
それは面を付け、試合をしている時も同じだった。


うまい。


僕が人の剣道の腕を評価するのは
失礼なのかもしれないけど、単純にそう思えた。





次の日からの僕は何かが吹っ切れたように
カリナと話が出来るようになった。



ただ、あの日以来デブとは
何か気まずいものがあり話せずにいた。
カリナが2人をつなぐように会話をしようとしても
デブも気まずさを感じているらしく、
すぐに話を終わらせてしまう。
僕もそうだった。




1週間後、


部活に行こうとする僕にデブが話しかけて来た。





連続カレーブログ小説「カレーみたいな青春」 明日へつづく・・







はい。ガリです。まいど。
ここからが今日のカレーですよ。




カレー生活66日目。


カレー生活を始める前は、
なぜか少し敬遠してたお店やってんけど
カレー生活を始めてからは期待を込めるようになってた不思議な店。
ハングリー味川 へ。
名前からすでにジャンクな香り。


完全にガリ担当のカレー屋です。
スタンドカレー。
でも、ファストフードカレーとはちょっと違ったお店。



2時ぐらいに訪問。





お客さんの姿はなし。


普通のカレーライスは450円。安い。
ハンバーグカレー(650円)が食いたい。
でも、普通のじゃないって噂のチキンカレー(600円)も食いたい。


ってことで
ハンバーグカレーにチキンを乗せれるか聞く。


 できますよっ


ステキなトーンでマスターが答えてくれたので
それを大盛りで2つ頼む。大盛りは+100円なんで900円。


目の前でマスターが
パシパシとハンバーグを大きく上下させる。
ただ、体は大きく左右に揺れてる・・


パフォーマンス的な華麗な動きを見せたあとは
前の鉄板に押し付ける。


じゅっじゅわぁあ


鉄板でチキンも焼かれる。




かんかんかしゃかしゃじゅわじゅわぁあ


っといわせながらマスターが焼き上げる。


ご飯が盛られ、横にキャベツを添え
ハンバーグが乗る。でかい。平たいけど。
チキンも乗せられカレーがかかる。


来ましたっ



うまそうや。
ってか絶対ぼくが好きに違いない見た目をしてる。


いただきますっ。




おおっ。


なんか目の前で焼かれてたから
ちょっとした洋食屋に来た感じになってたけど


思い出させるようなスタンドカレーっぽい
ちょっとしょっぱい味。
そうそうこれこれ。


安心。


そうでなくちゃね。
ハンバーグとチキンも
これはすごい!ってとこまではいかん感じで。
でも、普通やけどうまい。みたいな。
ジャンクな感じもいい。


とりあえず、好きです。


後から来たお客さんの注文した
ナスカレーとハンバーグカレーを作ってるとこを見ながら
ぺろりと食い切る。


ごちそうさまでしたっ。




マスターの感じがよかった。
なんか知らんけど勝手に、
頑固親父みたいな人がやってるイメージ持っててんけど
目の前で踊るようにハンバーグの空気抜きしだすし、
なんか心地いい軽めのトーンでしゃべってるし。


帰りにデブさんと話してたけど、


やっぱりね、
何回も書いたかもしらんけど
お店の人の感じがいいと、また行きたくなるし
食ってるもんも多少なりうまく感じたりするんよ。
もちろん逆もあってね。


そんなんもふまえて採点してるかもしらんけど、
それも味やもんね。

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ハングリー味川

東京都千代田区三崎町 2-17-8(→MAP
[評価]

味:★★★★

量:★★★

CP:★★★★

総合評価:★★★★

※日記内容、評価はあくまでも個人の主観によるものです。